2010年4月30日金曜日

ヘッドホンアンプ: セレクタ・ヘッドホンアンプ・コントローラ(2)

ヘッドホンアンプ

ヘッドホンアンプTPA6120A2はWebの記事によると無信号時でもそれなりに発熱するようです。チップ裏側にはPowerPADという放熱用パッドが露出しています。このパッドをグラウンドに接続するとともに、発生する熱を適切に放熱させる工夫が必要です。

TPA6120A2入力部に設けたジャンパピンは、低能率ヘッドホンに対応させるためのゲイン調整を想定したものです。ヘッドホンアンプ出力には、発振防止を目的としたLCRによるZobelネットワークと呼ばれる回路を追加しています。定数は、このページを参考にしました。

ヘッドホンアンプとライン出力系のそれぞれに電子ボリュームPGA2311を挿入しています。ライン出力系統に挿入された電子ボリュームは、音量調整用ではなく入力ソースによるレベルのばらつきを補正する目的で使用します。ライン出力には、バランス(XLR)出力も付けました。ドライバには、バランス・ラインドライバSSM2142を使用します。



  ヘッドホンアンプ回路図(2/3)

2010.5.8追記 SSM2142のSENS端子にカップリングコンデンサ追加。
リレー電圧4.5Vに合わせるためダイオードを挿入。
2010.5.10追記 TPA6120Aをツインモノ構成に変更。

キャノン(XLR)コネクタ

音声のバランス伝送には、3本の信号線(ホット・コールド・シールド)を使います。かつてはピンアサインやコネクタの極性(オス・メス)など、アメリカ方式・ヨーロッパ方式・混合方式などと混乱していましたが、現在ではAES14-1992で標準化されているそうです。

1.シールド(GND)
2.ホット
3.コールド
また、今回はライン出力(機器の出力)なので「オス」のコネクタを使います。


XLRコネクタのピン配列(Switchcraft社資料より)


XLRコネクタ(3ピン・オス)の例


バランス伝送レベル
Webで調べてみたんですが、なんだかよくわかりません。業界や企業によってもバラバラみたいですし、そもそも、”基準レベルって何?”って感じ。とりあえずタスカムの業務用CDプレーヤCD-01U Proの規定を準用してみます。仕様によると、最大出力レベル +20dBu、出力インピーダンス150Ωとあります。dBuとは、0.775Vを基準にした電圧値ということで、+20dBuなら7.75Vと大変大きなレベルです。
私は、XLRコネクタ付きの民生用アンプに接続する予定ですが 、アンプの仕様書にはXLRコネクタに関する規定がありません。しかし、業務用CDプレーヤほどのレベルが必要とは、とても思えないので、とりあえずアンバランス出力と同じ1Vrmsをバランス・ラインドライバに直結してみます。バランス・ラインドライバにゲインはありませんが、バランス伝送なので受信側では2Vrmsになります。

ヘッドホンアンプ: 基板のアートワーク(1)

デジタル入力インターフェース基板のアートワークがようやくできた。目標サイズの100mm×39mmには納まったが、部品がぎっしりな部分とそうでない部分が混在して、もうひとつの出来映え。

Minimal Board Editorの画面



パターン図

2010年4月29日木曜日

カモシカ

富山の山奥でカモシカに遭遇。人慣れしているのか逃げません。危険な感じがしないので近寄ってみました。でも、10メートル程度まで近づくと逃げられてしまいます。
※『カモシカ』といっても、シカではなくウシ科だそうです。


 カモシカ

  カモシカ

 ゼンマイ(エサですか?)

2010年4月21日水曜日

ヘッドホンアンプ: セレクタ・ヘッドホンアンプ・コントローラ(1)

入力セレクタ
ヘッドホンアンプのメインボードです。まず、3系統の入力セレクタ部分。2系統はバッファアンプ付きのライン入力で1系統はD/Aコンバータです。
セレクタには、Analog DevicesのアナログスイッチSSM2404を使用します。その素晴らしいアイソレーション特性を発揮させるには、プリント基板のアートワークでの工夫が必要不可欠ですが、どこまでできるか・・・?
 ライン入力には、DCカットのコンデンサを挿入しています。コンデンサ容量を低めにするため、負荷抵抗を高くしました。バッファアンプには、入力バイアス電流の小さいFET入力のオペアンプOPA2134を選定しています。
ところで、オペアンプが生ずるノイズは、入力雑音電圧密度と入力雑音電流密度に大きく影響を受けるそうです。選定に際して、DIYな音響関連電子工作で配布されている出力雑音密度を計算するExcelシートを利用させて頂きました。


ヘッドホンアンプ回路図(1/3)

2010.5.10追記 コンデンサ定数を修正

2010年4月17日土曜日

ヘッドホンアンプ: ケースのレイアウト

パネルデザイン
 ケースのレイアウトを検討しています。FPGA FMステレオチューナと幅と奥行を合わせるつもりですが、収容量に余裕がないため基板サイズを決めてから、基板設計に着手する予定です。作成したパネルイメージを次に示します。

 フロントパネルイメージ

 
 リアパネルイメージ


ケースの中身は、結構ぎっしりです。検討過程では、トランスをケースの中央付近に配置できるよう配慮しました。最終案は、数パターンの配置からケースの重心にもっとも近くなるものを選定しています。中央から左よりの配置ですが、ケースの自重もそれなりなので持ちあげたときの違和感はそれほどないのではと思っています。また、これから設計するデジタル入力インターフェース基板やヘッドホンアンプ基板に使えるスペースが少ないので、それに合わせて部品選定や回路規模を含め再検討が必要かもしれません。
 

 
 ケース内のレイアウト
 
使用部品

 使用材料、たくさんあります

  •  ボリューム
     回したときに適度にトルクを感じるという理由でTOCOSRV24YNを選定。写真のものは、ジャンクからの取り外し品ですが、配線コードをストレートに接続せずに、ボリュームの周りを1周させています。こうすると端子に無理な力がかかりにくそう。この配線方法、真似しようと思っています。

    • つまみ
    実は、いちばん選定に悩んだのはこの部品。カッコイイつまみは意外に高価。予算との兼ね合いもあり決定打は見つからず、形状がシンプルで大きめサイズということで、LEX丸三電機のアルミ削り出しツマミMF-40(直径40φ、高さ19)をセレクト。

    • 電源スイッチ
    E-SWITCHRR3130ABLKBLKFS。ロッカースイッチと呼ぶそうです。(波型スイッチのほうがなじみがあります)

    • ヘッドホンジャック
    いわゆるフォーンジャック。ギターアンプについているような無骨なものばかりのなか、トモカ電気の店頭で見てくれのよいNEUTRIKNJ3FP6Cを発見。ロック機構付きで、赤いボタンを押さないとプラグは抜けません。

    • ロータリスイッチ
    6接点タイプ。接点が剥き出しではなくて密閉されているタイプから選定。Digi-Keyで探したが、ひどく高価なものばかりだった。結局、以前よく出回っていたアルプス電気SRRN1026Sを在庫限りということで共立エレショップで購入。SRRNシリーズはWebに掲載されているが型番が異なる。モデルチェンジした模様。入手品の仕様は、定格0.15A DC12V、ショーティングタイプ。定格電圧が思いのほか低く意外だった。

    • キャノンコネクタ
    パネル取り付けタイプの3ピン・オス。キャノンといえばITTだが、業務用っぽいイメージがあるので、SwitchcraftのE3MSCをRSコンポーネンツから購入。この商品、『Alliedカタログ商品からのお取り寄せ商品』ということで、送料無料でした。Allied Electronicsというのは、Digi-Keyみたいな電子部品の通販業者みたいです。

    2010年4月16日金曜日

    ヘッドホンアンプ: D/Aコンバータ

    概要
    今回は、お気楽オーディオキット資料館で頒布されている、DAC1242-1.5基板を使用しました。この基板は、Cirrus LogicのデジタルオーディオインターフェースレシーバCS8416と新潟精密製FN1242Aを使用しています。このFN1242Aはフルーエンシ型デジタルフィルタを採用し音質の評価が高いことで知られています。このチップとTPA6120A2を使用してみたかったのが、今回のプロジェクトのキッカケにもなっています。


     D/Aコンバータ

    2010.4.21追記 DAIエラー出力を追加、リセット回路にダイオードを追加ほか、一部修正

    この基板は、トランスを直結できるよう設計されています。今回は、定電圧回路を別途用意したため、整流・低電圧回路を直通として使用します。


    デバイスの仕様
    • FN1242A
    24ビット8倍オーバーサンプリング フルーエンシ型デジタルフィルタ内蔵D/Aコンバータ
    ダイナミックレンジ: 102dB、S/N比: 102dB、THD+N: 0.002%
    サンプルレート: 32kHz~192kHz
    デバイスには100kHz帯域のLPFを内蔵しています。
    • CS8416
    デジタルオーディオインターフェース受信IC
    対応サンプルレート:32kHz~192kHz
    4系統の入力セレクタを備えています。(ソフトウエアモードでは8系統)

    出力レベル
    FN1242のデータシートによると、出力は0dB FSで0.6 AVDD(5kΩ負荷時)より、5V×0.6=3Vp-p。
    2010.5.26追記) 実測で3.3Vp-pでした。




    2010年4月13日火曜日

    ヘッドホンアンプ: デジタル入力インターフェース

    概要
    USBや3系統の光デジタルオーディオ信号から任意の入力を選択し、S/PDIF(デジタルオーディオインターフェース)信号として出力するものです。



    デジタル入力インターフェース

    2010.4.17追記 光出力を追加
    2010.4.21追記 光インターフェース電源のLC定数ほかを修正
    2010.4.30追記 基板にあわせて接続を修正

    USB入力
    USBオーディオインターフェースICとして非常に有名なPCM2704を使用し、S/PDIF信号を取り出します。IC単体の機能として、D/Aコンバータやヘッドホンアンプも内蔵されていますが、TPA6120A2を使うのが今回のお題目なのであえて使用しません。
    回路としては、『セルフパワー』モードにしています。また、USBのディスクリプタ情報を変更するためのEEPROMを搭載できるよう考慮しておきました。 EEPROMの書き込みデータは、PCM2707と同じで良い(試作例)のでいずれ試してみるつもりです。なお、設計に際し、メーカ純正の評価モジュールDEM-PCM2704のデータシートが非常に参考になりました。


    光入力
    東芝のTOSLINKモジュールから3.3V動作可能なTORX147PL(F,T)を選定しました。このモジュール、光コネクタ差し込み口にシャッターが付いているのがポイントでしょうか。保護キャップをなくす心配がない。

     TORX147(データシートより)


    ところで最近では、48kHzを超えるサンプルレートも珍しくありません。後述するD/Aコンバータは192kHzに対応しているので、この光モジュールが対応しているサンプルレートを調べてみました。
    デジタルオーディオインターフェースの規格では、左右の音声データに同期信号や負荷データを加え音声1サンプルあたり64ビットのデータとし、さらにバイフェーズマーク変調と呼ばれる処理を行っています。例えば、サンプルレート48kHzの最大データレートは、48k sample/s×64b/sample×2(バイフェーズマーク変調)=6.144Mpsとなります。ここでTORX147のデータシートによると、最大データレートは15Mbpsなので96kHzまでのサンプルレートに対応していることがわかりました。

    192kHzに対応させるには、約25Mbpsを伝送できなくてはなりませんが、東芝のWebからデジタルオーディオ用光受信モジュールを検索したところ15Msps止まりです。次に、他のメーカから探してみたところ、シャープから送信のみ50Mbps対応品がラインアップされています。これだと384kHzまで対応できてしまうのでしょうか。そんな速度まで80年代のS/PDIF規格で頑張るのか、という感じ。でも、受信はどうする?

     GP1FAV55TK0F(データシートより)



    入力切替器
    実は、後段のA/Dコンバータ基板に搭載されているチップに入力切替機能が付いているんですが、できあいの基板を使う都合上、見苦しい改修を避けるために別個に設けることにしました。切替器には、74HC153とかのマルチプレクサを考えましたが、3.3V動作させると速度が遅くて波形が鈍りそうな気がします。ところが3.3V対応の高速ロジック74LCX153とかは入手難。ニーズがないんでしょうか。いろいろ考えた結果、バススイッチ(アナログスイッチ)を使って見ることにしました。

    2010年4月4日日曜日

    ヘッドホンアンプ: 入出力信号レベル(2)

    前回に続き、まだ検討しています。


    ライン入出力レベル
    ラインレベルに統一規格はないので、キリのよい1Vrms(0dBV)とします。


    CDプレーヤのレベル2Vrms程度と比較して6dBほど低くなります。
    また、 チューナや古いテープデッキと比較すると逆に6dB程度高いレベルです。
    従ってライン出力レベルの調整余地は±6dBとします。


    ピークレベルは、デジタルソースとアナログソースで異なります。
    デジタルソースは最大値が決まっていますが、アナログはトランジェントがあるので高い電圧が出てくる可能性があります。例えば、標準レベルとして設定した1Vrmsに対し、トランジェント分として仮に10dBを考慮すれば、3.2Vrmsとなります。


    ヘッドホン出力レベル
    MDR-CD900で妥当な音量での端子電圧実測値は約0.2Vrms(-14dBV)でした。
    これを基準に、音圧を一定としたときの 機種毎の端子電圧と電力を計算してみました。

     
     ヘッドホンの端子電圧


    この表からわかるとおり、必要な電圧や電力は意外に低いようです。DT990 PROのように低能率ヘッドホンに対応させる場合、16dBもの感度差を基板上にジャンパスイッチを設けて調整できるようにしたほうが良さそうです。また、 トランジェントを考慮して仮に10dBのマージンを確保する場合、ヘッドホンアンプの能力として端子電圧は約4.1Vrms、電力は約130mWに対応できればよいと考えます。


    レベルダイアグラム
    以上を踏まえて、ヘッドホンアンプの各ステージでの許容電圧とレベル配分を考えました。レベルを上げるほうがS/N比が有利になりますが、許容電圧とのマージン(ヘッドルーム)を確保できなくなります。下図の通り、低能率タイプのヘッドホンを使う場合でマージンは10dBほどになります。


    犬山祭


    犬山城をバックに車山(やま)が進む


    珍しい(?)舟形の車山



    からくりが披露(乙姫)


    乙姫が浦島太郎に玉手箱を手渡し...


    玉手箱を開けた浦島は白髪の翁に