2016年7月18日月曜日

TRIO FMチューナ KT-9900 近代化改修: PCM1704 D/Aコンバータを内蔵

「KT-9900 近代化改修」というタイトルにしていますが、チューナのガワだけ使って中身を別物に入れ替えようという乱暴なプランです。

チューナ部分にはFPGA FMチューナ。さらに、オーディオD/Aコンバータも内蔵することにします。KT-9900でもともと使われていた部品のうち流用するものは、芸術品のようなバリコンチューナ部分と電源トランス系。他の基板類は故障多発の実績ありなので継続使用は厳しい感じでしょうか。

D/Aコンバータには、ジャンク箱から出てきたPCM1704を活用します。他に、h_fujiwara氏のDAI基板やPCM1704用D/A基板が1枚あり、調べたところ2007年に大枚はたいて購入したまま塩漬けとなっていたものでした。これを組み上げるには電源やそれなりの大きさのケースが必要なのでKT-9900は最適です。
さて、PCM1704の手持ち数は4個。片チャンネルあたり2個使い、差動接続するのが妥当に思えます。h_fujiwara氏のD/A基板説明書によると差動接続させるにはD/A基板が2枚必要です。手持ちは1枚なのでもう1枚欲しいな、と調べたところあいにくの在庫切れ。検討の結果、I/V変換やバランスドライバ機能も盛り込んだ基板を作ることにしました。基板サイズ10センチ以内だと割安で製作できます。




2016年7月15日金曜日

Design Spark PCB備忘録: 回路図から基板へ

結論から言うと、クイックスタートガイドはちゃんと見ておいた方が良いです。

回路図の作成

  • パーツのライブラリは、すべて自分で登録した。
  • アース記号を描くだけではつながってくれない。各アースが属するネット名を同じ名前に統一すると、その配線がつながっているものと見なしてくれる。
  • 部品番号は手動変更は可能だが、自動振り直しはできないっぽい。
  • 配線に Net Name を表示させるには、配線を選択し右クリックメニュー Display Net Name

PCBファイルの作成

  • クイックスタートガイドを見ながら回路図から Translate To PCB... すると、部品同士の接続関係を示すラッツネストという黄色線で接続された画面になる。(Technology File: 2sig2plane, Unit: mil, Precision: 0, Electrical Layers: 2 Layer Board, Board Size: 任意・後から変更可, Component Placement: Arrange Outside the Board)
  • 部品の自動配置もできるようだが使わず。
  • 単位系はmilかmmか。。。 mil が無難かな。
  • 回路図変更後の基板への反映は、PCB Design 画面で Tools → Schematic/PCB Check
  • 基板サイズ変更、基板固定穴の配置
  • 部品の位置を固定 ⇒ 右クリックメニューで Fix Item
  • 部品を基板の裏側に配置 ⇒ 右クリックメニューで Flip
  • Finishing here would result in design rule check errors. のエラー 部品の位置を変えたとき等、その都度DRCが走ってエラーが出ることがあります。結構うざいですが Tools ⇒ Online DRC のチェックを外すとこの機能を解除できます。
  • レイヤ表示設定は、View ⇒ Interaction Bar ⇒ Layers タブ

PCB配線パターンの作成・修正

    • 部品配置を決めたら自動配線させてみる Tools ⇒ Auto Route Nets ⇒ All Nets
    • ラッツネストに戻すときは、配線パターンを選択し、右クリックメニュー ⇒ Net ⇒ Unroute Track Segments または Ctrl + U
    • 配線を書く前に S キーで配線スタイル、L キーでレイヤを変更できる
    • 部品のレイヤを後から変更するには、右クリックメニュー ⇒ Flip
    • 手動で斜めのパターンを引くとき、Wキーで 直角/45度曲げ/丸みをつける/直線にするか選べます。配線後の修正は、直角⇔45度曲げの変更しかできないっぽいです。(角の先端をダブルクリックして変更)
    • SHIFT+ダブルクリック で同電位の配線をハイライト表示
    • ビアを打つとき、レイヤが[All] になってないと、Warning, the surface-mount pad uses a style with a drill hole というワーニングが出ます
    • ベタパターンも引けます。他のパターンとの離隔距離は指定できます。今回は18milにしてみました。

    デザインルールチェック

    Spacing (単位 mil、デフォルト値)

    • 今回は、ELECROW の規格を抜粋します。専門用語が多くて誤認しているところがあるかもしれません。
    1. 配線幅 Minimum PCB track: 6mil(推奨8mil)
    2. Minimum Track/Vias Space: 6mil(推奨8mil)
    3. Minimum pads Space: 8mil
    4. Annular Ring: 6mil
    5. シルク文字高 Minimum silkscreen text size: 32mil(推奨40mil)
    6. シルク文字太さ: 6mil
    7. ビアドリル径 Drilling Hole: 0.3-6.35mm(0.05mm単位)
    8. ビア径: 0.8-6.35mm
    9. ボード外形と配線やシルクとの離隔: 0.2mm(推奨0.3mm/12mil)
    10. ドリル穴同士の離隔: 0.45mm

    設定画面




    • Tools → Design Rule Check で遭遇したエラー
    1. Track to Pad error (T-P): パッドと配線の離隔不足。すべて修正。
    2. Track to Board Error (T-B): 配線と基板外形の離隔不足。基板サイズを変更して対応。
    3. Component to Board error (Cm-B): 部品と基板外形の離隔不足。基板からはみ出して部品を配置したので出た。わざとやってるので無視。
    4. Component to Component Error (Cm-Cm): 部品と部品の間の離隔不足。基板実装タイプのBNCコネクタの裏側にチップコンを配置したら出た。支障ないので無視。
    5. Dangling Track: 未接続や途中で切れているような不完全な配線パターンあり。地道に取り除くしかない。
    6. Track to Drill Hole error (T-D): 太い配線パターンがドリル穴を覆っているため。ビアに対して配線幅が太すぎ(電源)のため。大きなビアにすれば良いのでしょうがわざとやってるので無視。
    7. Pad to Silkscreen error (P-S): パッドがシルクと重なっている。重なったらシルクが欠けるだけでは?と思ったが製造会社によって違うらしい。仕方ないのでライブラリも含め、一つずつ修正。
    8. Via to Silkscreen error (V-S): ビアがシルクと重なっている。7と同様。

    ガーバ出力

    • ELECROW 向けのデータは、FusionPCB と同じで良いみたいです。ガーバ出力の手順は、慶応義塾大学ロボット技術研究会ブログにも転載されている)に詳しいです。
    • 外部ツールのガーバビューワで出力されたファイルの妥当性を確認します。ビューワはいろいろあって、GC-Prevue(使い方はこちら)と Gerbv(使い方はこちら)を試しました。後者のほうがシンプルで動作が軽快でした。⇒ Gerbv は不適切な表示になる場合あり
    • Drill Ident Drawing.gbr が何を表示しているのかよくわからないが、ELECROW には必要ないのでスルー
    • ガーバ-ファイルを ELECROW の基準に合わせリネームし、ZIPで圧縮します。
    1. Bottom Copper.gbr : pcbname.GBL
    2. Bottom Silkscreen.gbr : pcbname.GBO
    3. Bottom Copper (Regist).gbr : pcbname.GBS
    4. Drill Data – Through Hole.drl : pcbname.TXT
    5. Top Copper.gbr : pcbname.GTL
    6. Top Silkscreen.gbr : pcbname.GTO
    7. Top Copper (Regist).gbr : pcbname.GTS
    • ELECROWのドリル径は0.05mm単位、インチ/ミリ変換時に端数が出ると大きいサイズが選ばれるらしい

    Design Spark PCB備忘録: 回路図を書いてみる


    まずはチュートリアル DesignSpark PCBの使い方一覧 を一通りやってみます。

    DesignSpark PCBで使われる単位
    1000[thou]  =  1000[mil]  =  1[inch]  =  25.4[mm]  =  2.54[cm]


    (新規ファイル作成)
    ・DesignSpark を起動
    ・File → New
    ・New Design ウインドウで Schematic Design を選び Use Technology File にチェック
     default.stf を指定
    ・File → Save As... でファイル名を指定して保存

    (図面枠の追加)
    ・Add → Component...
    ・Library で schema.cml を指定
    ・Component で A4 を指定
    ・Add で図面枠を追加




    回路図作成のショートカット

    F 部品の反転
    R 部品の回転


    配線の曲げ方
    45度のパターンは、配線ドラッグ中にWキーを押すと作成できます。
    もしくは一度90度配線をした後、角をダブルクリックすると45度配線が作成できます。


    ネット名の設定
    配線を右クリックして Net 名を設定できる。同じ Net 名の配線は接続されているものと見なされる。Net Class で適切な配線種別(Ground/Power/Signal)を選んでおくこと。


    ModelSource の利用
    部品をオンラインデータベースからダウンロードする機能。
    View → ModeSource Bar として検索画面を呼び出し、部品名で検索できる。アプリケーションのインストール時のユーザ名でログインが必要。




    レポートの出力
    ・Output → Reports...

    回路図では Bill Of Materials や Unconnected Pins Report 等が利用できる。


    印刷
    ・File → Print...
    Windows を選ぶと、デバイスとプリンター で指定された規定のプリンターで印刷。Fit Plot をクリックすると規定の用紙サイズに合わせて調整してくれる


    2016年7月10日日曜日

    実体顕微鏡のLED照明

    「実体顕微鏡のLED照明」を作りました。と言っても、照明ユニットにパワーLEDを差し込んだというやっつけ仕事です。1W LEDは明るくて、期待通りでした。


    さて、ニコンのSMZ-1Bにはもともと円筒形の照明装置が後部に付いていました。これに専用のハロゲン球を差し込みますが、交換用の電球が高価だったので、電気スタンドで代用していました。ただ照明の位置合わせが不便で、かねてから不満を感じていたのでLED式の照明を作ることにしました。
    次の写真は、元々付属していた照明の一部です。筒の中に光源を差し込みレンズで投影します。



    当初はLED式懐中電灯を差し込むつもりでホームセンター巡りをしましたが、1Wクラスのものは太くて入りません。そこでパワーLEDを真鍮パイプの先に取り付けることにしました。真鍮パイプ先端部に切り込みを入れて基板を挟みはんだで固定します。このパイプ、たかがパイプと舐めていたら思いのほか硬くて加工に苦しみました。どうやら五円玉と同じ素材のようです。



    パワーLEDの駆動には、1W LED用定電流ドライバーモジュールを使いました。秋月電子でも同様なモジュールが売られています。



    この照明の仕上がりはこんな感じになりました。LED放熱基板が大きくて照明の筒に入らないので余長をハンドニブラでカットしています。真鍮パイプの加工で疲れ、やる気をなくしたので仕上げは適当。結束バンドで配線とDCジャックと定電流モジュールを固定しておしまいです。


    最後に、この照明を使って撮影した写真です。被写体はELECROWで製造してもらった基板です。右側は0.5mmピッチのICで、仕上がりは自作では真似のできないものになっています。


    そして、これはガーバビューワでベタパターンの形が異なって見えた件の答え合わせです。予想通り GC-Prevueが正解でした。


    2016年7月3日日曜日

    Windows 10 スティックPC に放熱板を付ける

    Windows 10が動作するスティックPCを買ってみました。ドスパラの運営会社が販売する DG-STK3 なんですが、使っていると結構熱を持ちます。値段が安い代わりに、改造前提のようで熱対策として空冷ファンを取り付ければ万全ですが、自然空冷にしたいのでちょっとした放熱板を取り付けてみることにしました。

    DG-STK3の蓋を開けたところです。
    HDMI端子に隣接した溝付きの黒い小さなアルミ板がなんとCPU用の放熱板。さらにアルミ板の固定ねじを外すといきなりCPUが顔を出します。本来であれば既存の放熱板をより大きなモノに交換したいところ、いろいろ考えてまずは既存の放熱板はそのままにして追加の放熱板を取り付けることにしました。



    これが新たに取り付ける放熱板です。これを固まる放熱用シリコーンで取り付ける魂胆でしたが、残念なことに既にチューブの中で固まっていました。前回、いつ使ったのか、開封したら早めに使えと言うことです。


    仕方が無いので手持ちから熱伝導両面テープを使うことにしました。これは凸凹がある面には不適とされているため、溝付き放熱板には粘着力不足。貼り付けに苦労しました。




    放熱板を貼り付けたところです。剥がれないよう結束バンドで無理矢理固定します。


    Pカッタで蓋を適当な大きさに切断します。


    蓋を取り付けてひとまず完成と言うことにしました。



    使用に際してですが、初期設定でUSB接続のキーボードとマウスが必要です。Bluetooth接続のキーボードとマウスで作業を始めようとしたらいきなり困りました。よく考えたら当たり前の話なんですけどね。

    さて使い勝手ですが、作業後電源を入れると画面が表示されず、電源コード抜き差しでも復活しないので焦りましたが、PCと同じ要領で電源スイッチ長押しで再起動できました。SSDだからでしょうか意外に快適です。レグザだと画面から少しはみ出る感じですが、テレビ側の問題でしょうかね。
    残念なポイントとしては、無線LANが不安定なところでしょうか。突然通信できなくなったり、無線LAN APに再接続操作が必要になったり、使い物にならないという印象です。これは、無線LANチップが高温となると駄目という話ですが、無線LANが5.6GHzに非対応だったこともあり、USB接続の無線LAN子機を追加購入することで対応しました。

    気になる動作温度ですが、30分ほど例のStationTVでテレビを見てからの、コア温度は次の通りでした。室内温度28度での測定値ですから、夏場は少々苦しいかもしれません。



    2016年6月8日水曜日

    直るかFMチューナ KT-9900 その2

    前回の記事で音が出るようになったので BLUESS Laboratory さんのサイトを参考に調整をしてみます。シグナルメータの触れ具合がイマイチなので、まずはチューナパックの調整です。
    同調回路のトラッキング調整をしようとトリマーコンデンサを廻してみるとパキッと音がして調整できなくなりました。よく見ると蒸着された電極が剥がれ再起不能です。RF段の7個のうち2個が同じように壊れしたが、残りもいずれ壊れるのは明らかですから全数交換することにしました。写真の白い部品がそれです。IF段のコンデンサは、すでにメーカの手で交換されていた模様です。

    一通り、同調調整を行いメータの指示の校正をしました。
    シグナルメータは、dBf という謎の単位表示になっていますが、dBf の f はフェムトワットを意味しているそうで、0dBf は 1×10-15 W となります。dBm表示に換算すると、
    0dBf = -150dBW = -120dBm となります。
    試しに 60dBf 相当として、50Ωの信号発生器を接続し 50Ω⇒75Ωの不整合損失2dBを見込み、-58dBmを入力してシグナルメータの触れを確認します。
    76MHz で 52dBf、83MHz で 53dBf、90MHz で51dBf と低めの表示になりました。原因は、能動部品の劣化なんでしょうか。




    次いで DDLの動作不良を調べようと、信号の流れを追いかけたところ、DDL基板の入力オペアンプ HA1457 の不良がわかりました。ピンアサインはともかく 5532 で置き換えができそうですが、あちこち故障が見つかり満身創痍のチューナを修理することに意味があるのか考え込んでしました。
    地道に部品交換すれば、まだ直せそうですが、何しろこんなに部品が使われてますし、あまり状態の良くない個体故、所期の性能を維持するのは並大抵のことではなさそうです。いっそのこと、チューナパック部分とトランスを流用して、FPGAチューナ基板を詰め込んだほうが工作的には面白いかもしれません。



    参考資料
    FMチューナの感度について - LSIサポート

    2016年5月29日日曜日

    直るかFMチューナ KT-9900

    トリオのFM専用チューナ KT-9900の修理に取り組んでいます。
    電源を入れ、FM局に同調するとステレオランプがついて、変調度メータも動きます。しかし、肝心な音が出ません。


    調べると、+15V電源が出ていません。電源基板 Q5 電源レギュレータ 2SC1735が壊れていたので、笹原デンキに走り 2SC2235に交換すると無事電圧が出るようになりました。



    音声出力をオシロで見ながら電源を入れると、片チャンネルのみ上側の波形が出ない状態でした。調べたところMPX基板の音声出力ドライバのプッシュプルのうち+側のトランジスタ Q18 2SC1940の不良のようです。そこで先ほどの2SC2235にとりあえず交換。出力波形も正常になりました。それに、オペアンプのフィードバックループに入っているので大きな歪みもありませんが、改めて-側とセットでコンプリメンタリのペアで交換する予定です。



    さて、これで終わればバンザイと言いたいところ、音は無事出るようになりましたがセパレーションが悪い感じがするうえDDL回路のランプが付きません。さらにシグナルメータの触れ具合が25dBほど低いようです。まだまだ、直し甲斐があります。。。


    参考資料
    TRIO KT-9900BLUESS Laboratory
     チューナを修理しまくっているサイトです。このサイトを見なければ、修理に取り組む気にならなかったと思います。
    トリオとケンウッド チューナーのカタログやパンフレット、マニュアルCoolTune FM/AM TUNER 実験室
     KT-9900の海外向けモデルKT-917の回路図へのリンクがあります。